富山で馬の牧場はじめました

アラフォとアラフィフの中年夫婦が一念発起。東京のど真ん中から富山へ移住。馬の牧場をはじめました

馬のパーソナルスペース

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人は誰もが自分のパーソナルスペースを持っています。

わたしも持っているし、誰と比べるわけではありませんが、わりとガードはかたいほうかもしれません。

 

そして、我が家のウマコたちにもそれぞれパーソナルスペースがあるようで、中でもビバのそれははっきりとしています。

 

どんな生き物でも、急に近づけば驚き、ときには防御に入り、攻撃をしてきます。

とくに草食動物の攻撃の多くは、我が身を守るためのもの。

 

そうならないためにも、こちらの存在に気づかせることがとっても大切です。

 

こちらの存在に気づかせて、それでもなお攻撃してくるのであれば、また別の理由がある。

そのことに気づくためにも、こちらにも動物に対する最低限のマナーが必要なのだと思います。

 

ただ、パーソナルスペースのエリアは人同様、馬もそれぞれ。

 

我が家の場合、ビバは人間や他のウマコに不躾にエリアに踏み込まれるのをとても嫌います。

とくに馬小屋にいるときはパーソナルスペースの境界線がハッキリしているようで、不用意に手を伸ばすととてもイヤがります。

 

もともとベタベタされるのが好きな子ではありませんでしたが、あまり人間が好きではないのかな、と心配もしていました。

でも、あることがきっかけで、ちょっと違うなと気づくことができたんです。

 

 

そう思えたきっかけは、実はつい最近のこと。

Facebookでお友達になった動物カメラマンの方が遠方から遊びに来てくれた日のことでした。

 

そのときもひとり、牧場の馬小屋でオラオラ感を発しまくっていたビバですが、わたしが水を桶に入れている間、Tシャツをハムハムするビバを見てその方は、「好きなのね。ただ感情表現が不器用なだけなのね」と笑いながら言ったんです。

ビバの扱いに悩みまくっていた時期でもあり、心がスーッと洗われた気がしました。

それと同時に、走馬灯のように思い出しました。

 

1歳4ヶ月でフロンティアへ来た当初から、こちらからのアプローチには警戒心を強めますが、決して人嫌いでも不信感の塊でもなく、むしろ逆。

ルーティーンを重んじていてその分繊細でちょっと神経質なとこもあるけれど、誰よりも好奇心が旺盛で人懐こく、かまってちゃんだったということを。

そして言葉を理解し賢く、乗馬でも(忖度しがちですが)素直でがんばる。

 

それ以来、注意深くビバの様子を見ていると、今まではブラッシングのときに嫌がっていると思っていた仕草が、実はグルーミングのお返しをしてくれようとしているのかな、など今までとは違った視点でビバの様子を見れるようになりました。

実際口をモゴモゴしているので馬語でいえば「気持ちいい」と言っているはず。

でも未調教のビバと体を張った戦いを繰り広げてきた「ど素人」のわたしとしては、グルーミングのお返しの仕草に、つい身構えてしまっていたんです。

もちろんときにはビバの表情をよく観察してやらなかったために、実際彼にとって不快なブラッシングをしていた可能性もあります。

本当のところはビバに聞いてみないとわかりませんが、ただひとつ言えるのは、おそらくこれまでのわたしは、ビバの気持ちを置き去りにしたまま一方的な愛情を押し付け、さらに望んでいるような反応がないから人嫌いかも、というレッテルを勝手にはっていたのかもしれない、ということです。

 

馬にも個性がある、と言っておきながら、お手入れひとつとってもそれぞれに合うやり方をきちんと考えてあげていなかったことに気づき、猛省しました。

 

今はというと、今までよりもウマコたちの気持ちに寄り添う努力をしているつもりです。

それは決して遠慮や気を使うということではなく、より「個」としてそれぞれを見るということ。

果たしてわたしの気持ちと行動の変化がどう今後に繋がるかはわかりませんが、自分の中にあるしこりがまたひとつ、ほぐされたように感じています。

 

 



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