ツンデレビバの甘え方
6月12日で5歳になったビーバームーンことビバ。
ショボショボだったたてがみは、この4年間でパパ(アンダルシアン)譲りの豊かな長毛に。
丸っこかったお顔もパパ譲りの面長のイケメンに。
スキンシップの苦手なツンデレですが、頭の良さはピカイチで、忖度もできる優秀な乗用馬に成長しました。
ただひとつ、うちに来た頃から変わらないことがあります。
今から4年前のこと。
ビバはシルとビッグとそのほか10頭以上の馬たちと一緒に馬運車に揺られ、フェリーを乗り継ぎ、魚津インターを降りてフロンティアへやってきました。
ミラージュランドに着くと、シルとビッグが先に降り、続けて暴れながら降りてきたのがビバだったのです。
あまりの暴れん坊ぶりにかたまったまま見つめることしかできなかったわたしをよそに、わたしとさほど背丈の変わらないドライバーさんが、こちらも震え上がるような気迫でビバを馬小屋まで連れて行ってくれました。
馬小屋へ入ってからもビバの興奮はおさまらず、さんざん暴れ倒すとふいにしゃがみこみ、床に寝転がるとゴロンゴロンをし始め、その勢いで板を蹴破ったのです。
そして、突っ込んだ足が抜けずにさらに暴れる様子を、またまたただただ呆然と見つめるだけのわたしをよそに、ボスは馬小屋へ飛び込むと、暴れ倒すビバを押さえつけて板に空いた穴からビバの足を抜き、ようやく落ち着きを取り戻したのでした。
足が抜けず、身動きが取れなかったことがよほどこわかったのでしょう。
その日以来、死にそうになったところを助けてもらったとでも思ったのか、ボスのことは全面的に信頼するようになりました。
その後のビバは、厩舎の馬小屋ではゴロンゴロンしなくなりましたが、相変わらず牧場の馬小屋でゴロンゴロンしては柵に足を突っ込み、牧場の隅でゴロンゴロンしては木に足をひっかけて抜けなくなったり、なにかというとゴロンゴロンしたまま倒れて起き上がる気配を見せないことが頻繁に起こったのです。
そのたびに死んだような顔になり、ボスが助ける。
その繰り返しだったのですが、ある日、ボスがいないときにビバが倒れたまま起き上がれずにいました。
内心ドキドキしながらも急いで近づいてみると、馬小屋の馬栓棒に足がひっかかっていたのです。
わたしひとりの力ではビバの体を引きずるのはまず無理です。
なんせ体重300キロ前後なのですから。
なので前足か後ろ脚を持って逆に倒すのも、わたしひとりでは無理です。
一瞬の間にさまざまなシミュレーションをしましたが、どれも絶望的なものばかりでした。
そんなときです。ふとビバを見ると、彼は薄目をあけてわたしを見ているじゃないですか。
そしてわたしの姿をしっかりと確認したと思ったら、自ら足を引き抜き体を横にずらし、スクッと立ち上がったのです。
そうなんです。自分で立ち上がれるんです。
ただただボスに甘えたかっただけなんです。
わたしじゃないんです。
それがわかってからは、ビバがゴロンゴロンしてから倒れたまんまでもすぐには助けず、しばらくは側にいて静観することにしました。
そうすると、不思議なことにわたしだけしかいないときは、しばらく考えたのち、器用に立ち上がるのです。
そして、ボスがいると「ボクはもうダメです」と言わんばかりの生気の失せた顔で一向に立ち上がろうとはしないのです。
ツンデレでベタベタされるのがキライで、几帳面で神経質で不器用なビバは、唯一ボスのことを頼れる存在だと認めています。
なので、これもビバも甘え方のひとつなのかな、と思いつつ、わたしもそういう存在に昇格できる日がくるのだろうかと考え込んでしまうのでした。
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