富山で馬の牧場はじめました

アラフォとアラフィフの中年夫婦が一念発起。東京のど真ん中から富山へ移住。馬の牧場をはじめました

オープン4年目にして思うこと

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フロンティアの所在は遊園地の中。

富山県魚津市の遊園地「ミラージュランド」の中の公園にあります。

2017年、牧場を始めたいと一念発起。

東京から富山へ移住し、土地を借りることができたのがミラージュランドだったのです。

 当時のことはこちらをどうぞ。

 

わたしはこれまで自分が通っていたいくつかの乗馬クラブをイメージしていたのですが、牧場を作り進めるうちになにかが違うことに気づき始めました。

 

それは、遊園地の冬季休園が終わり、新シーズンがスタートする日、すなはちフロンティアのグランドオープン間近になるとその違和感は確信に変わり、極度の緊張に襲われ始めたのです。

なぜならば、一度もサラリーマンを経験することなくアルバイトの編集者からフリーランスの編集者として仕事をしてきたので時間管理も自己責任。

毎日決まった時間になにかをする習慣などなく、「時間」にプレッシャーを感じてしまったのです。

 

でも時間なんて慣れるものです。

朝型生活はすぐ板につき、遊園地の営業時間にもあっという間に慣れました。

でも、オープン後は、それとは違うプレッシャーに苛まれることになったのです。

 

それは「接客」でした。

これこそ最初にもっとシミュレーションしておくべきことでした。

接客業を一度もしたことがない、子どもにも慣れていない。おまけに馬を飼うのも初めて。

そんな人間がいきなり遊園地の中で馬と一緒に仕事を始めるなんて無謀すぎます。

でもあの頃のわたしは、遊園地の中であろうと牧場は牧場。

これまでわたしが知っている乗馬クラブの感覚でいたのでした。

 

そもそもこれまで通っていた乗馬クラブでは、少しでも馬に触れたくて、頼まれてもいないのにブラッシング。

ニンジンやりんごなどの貢物をせっせこ運び、あげるときもクラブの人に了解を得る。

お金を払っているからお客さん、なんていう気持ちはまったくありませんでした。

 

でもそれって目的が「馬」だからなんですよね。

馬と自分を結びつけるのがクラブであり、料金を払うのは仲介料や施設使用料みたいな感覚なのかもしれません(あくまでもわたしの場合ですが)。

 

それでは遊園地の中にある牧場の場合どうなんでしょう。

ほとんどの人が遊園地に遊びにきたわけで、「馬が目的」ではない、ということは今ならわかります。

そういう人たちがアトラクションのひとつのような感覚で牧場に立ち寄るのです。

そして「馬を目的」に来てくれる人も、ほとんどが小さな子どもたちです。

親御さんも含めて馬という生き物がどういったものかわかりません。

 

だから、目的も価値観も認識もバラバラな不特定多数の人が集まる場所で生き物を扱うことに、ものすごくプレッシャーを感じてしまったのです。

 

でもプレッシャーを感じている場合ではなく、毎日無心で走りました。

たくさんの人の力を借りながら、無我夢中でした。

あまり声が大きいほうではないのですが、遊園地内に響き渡る子どもたちの笑い声、歓声、悲鳴、遊具の機械音……。さまざまな爆音に負けじと「庄や」さんバリの声でお客さん対応する日々。

 

そうしているうちに、「接客」の概念が少しずつ変わっていきました。

初めの頃は、不特定多数のお客さんが心地がいいと思ってもらえる空間を作ろうと考えていたから接客に苦しみましたが、お客さんはわたしの拙いトークやぎこちないスマイルを求めているわけではなく、多少なりとも馬に興味を持って入ってきてくれているんです。

それなら「馬をもっと正しく知ってもらうこと」が大切だということに徐々に気づいたのです。

それによってウマコたちも不快な思いをせず、安心してかわいがってもらえる。

それこそが安全にも繋がるんじゃないのかな、と思うようになりました。

だから、馬に意地悪をする子がいれば容赦なくやり返します。

大人にはやり返しませんが、言葉で注意します。

柵の向こうからこっそり何かを食べさせようとしたらたとえ草であろうと止めます。

子供が真似をするし、万が一のことがあっても柵越しでは対応のしようもありません。

それに、ウマコたちが柵越しに食べ物をもらえると学習してしまいます。

だから気持ちはとてもわかるけど、やめてもらいます。

そこを遠慮していたら、安全な牧場ではなくなるなって思うから。

人見知りでちょっとコミュニケーション下手なわたしも、多少はメンタルが強くなったのかもしれません。

 

馬は機械やロボットでもなく人間と同じ感情を持つ生き物だということを理解してもらえれば、人間もウマコたちも心地がよくなる。

特別な接客をしなくても、勝手にウマコたちとの関係を築いていってくれる。

初めはふらりと立ち寄っただけでも、帰る頃には馬好きになっている。

そのことに気づいてからは、接客にプレッシャーを感じることが少なくなりました。

 

それに、馬が目的ではなかった分、感動も大きく、喜んでくれる。

その気持がすべてわたしのパワーにもなるんです。

 

今年の春、オープン当初から乗馬をしている女の子が小学生になります。

子どももいないのに、今ありえないくらいたくさんの子どもたちの成長を見続けることができるのも、遊園地だからこそなんでしょう。

 

そんなこんなで昨日から始まった4年目のシーズン。

今季もたくさんの人たちとウマコたちを通して交流し、ひとりでも多くの人に馬という生き物を知ってもらい、扱い方を知ってもらい、仲良くなってもらい、馬に乗ることで自分の可能性を広げてもらいたいなと思うと同時に、わたし自身、もうちょっと接客上手にもなりたいな、と密かに思うのでした。

 

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