いくつになっても馬を忘れないおじいちゃん
フロンティアに訪れるご年配の方の中には、とても懐かしいと言ってウマコたちをかわいがってくださる方も少なくありません。
中でも驚いたのが、オープン当初に遊びに来られたとあるおじいちゃんです。
その方は認知症を患っていました。
職員の方に車椅子を押されながら牧場へ来られたのですが、車椅子に座りながらも腰は曲がり、うつらうつらとした表情からは、目の前の馬がわかるかな?とはじめは心配しました。
けれどもわたしたちの心配をよそに、ウマコの目の前に車椅子をとめたとたん、ゆっくりとした動作で腰を上げ、
おうヨおうヨ
とはっきりとした声で呼びかけながら、ゴツゴツとした大きくしわくちゃな手で、ウマコの頭をなで始めたのです。
一瞬ウマコは驚いたようですが、おじいちゃんのまっすぐな視線と力強く迷いのない手の圧に安心したのか、おとなしくなでられていました。
まだ客慣れしていない我が家のウマコたちのそんな姿を見て、その昔、馬と共に生きてきたたくましい男の姿を見た気がしたのでした。
馬は人の気持ちを読む、とよく言われます。
それは馬がとても臆病な動物だということなのでしょう。
だから、人の表情の変化や目の微かな動き、そして筋肉の動きをよく見ているということなのでしょう。
そして馬は、自分よりも強いと感じたものに対しては従順になります。
ただ、強いと言っても力でねじ伏せる強さではありません。
この人のそばにいたら守ってもらえる、という安心感を覚える大きな意味での強さです。
馬はこうした人間の前では穏やかで、素直になるのです。
だから、このおじいちゃんのように迷いの微塵もない様子で近づきなでることで、馬はおじいちゃんを強い人間だと認識し、安心して身を委ねたのではないかなと思っています。
この1年ほど、おじいちゃんの姿を見かけません。
ときおりおじいちゃんおばあちゃんを乗せた施設の車が牧場の横に止まり、ウマコたちを眺めていることがあります。
あの車の中にあのおじいちゃんもいるのでしょうか。
どうかお元気でいてください。
おじいちゃんとウマコたち。
n3年たった今でもあの日のことは、馬の無限の可能性を信じる大切な出来事として、忘れることなく心の中にあるのでした。
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