富山で馬の牧場はじめました

アラフォとアラフィフの中年夫婦が一念発起。東京のど真ん中から富山へ移住。馬の牧場をはじめました

馬の言葉を理解したい

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人間がコミュニケーションを取るのに言語を使うように、馬同士も馬にしかわからない言語があります。

そしてその言語を解説した洋書があったので、翻訳本を入手してみました。

 

我が家のウマコたちは、「帰る」「仕事」「足」「ニンジン」「お利口さん」「可愛いね」など、頻繁にかける日本語はある程度理解しています。

それは人間が認識している言語とは違い、おそらく音楽で覚えるような感覚で聞き分けているのではないでしょうか。

 

ただ、もっとウマコたちのことを知りたくて、とくに馬に対しても人間に対してもあたりの強いビバに歩み寄りたくて、「ホース・スピーク」を習得してみようと思ったのです。

 

 

本によると、馬は「どーせ人間はオレらの言葉なんて理解していないんだから話してもムダムダ!」と思っているとか。

だから、能面のような表情でなでられ続けたり、理不尽なことも我慢することを覚えているのだというのです。

 

もしそうだとしたら人間はとても無礼なことを馬にしていることになります。

馬が馬の言語で「嫌だ」と意思表示をしているのに、人間が理解できないばかりに我慢を強いているからです。

それでは一向に人間とその馬との信頼関係はそれ以上にはならないと思うのです。

 

その本を読み進めるうちに、うちのウマコたちも本当は箇所箇所で、馬の言語を使って気持ちをこちらに伝えようとしているのではないだろうかと思い始めました。

なので少しずつ実践してみることに決めました。

 

ただこれが難しい!

まだ全ページ読破できていないのですが、少しずつ読んではビバで実践してみる、というのを繰り返してみたのですが、以下が変化の過程です。

 

最初はいつもと違う動作(おそらく馬同士ではあり得る動作)をするわたしに「おや?」という表情でとまどいを見せていました。

やがてビバの動作を真似してみたあとに、いったんビバの動作が終わった頃を見計らい、今度はわたしがその動作をすると、ビバも真似してみせたのです。

これはミラーリングといって、この時点で馬との会話はわずかに成立しているのだといいます。

調子に乗ったわたしは一週間ほど毎日ビバと会話を試みてみました。

 

ですが、一週間後、なぜだかビバは会話を試みると怒るようになってしまったのです。

そして、わずかにビバとわたしの関係性が以前よりも悪くなったように感じたので、現在この実験は中止しています。

 

この結果にやや気を落としてしまいましたが、よく考えてみれば、馬語がわからなくても馬と犬、馬とうさぎなど、馬とほかの動物がコミュニケーションをとることができます。

彼らのコミュニケーションを取り上げた動画をよく見てみても、どう見ても馬の言葉をほかの動物が話しているようには見えません。

なので、もしかしたら馬語をわかっていなくても礼儀をもって接すれば気持ちは通じ会えるのではないかと原点に今は戻っています。

 

ただ、この本と出会ったことで、ささいな馬の表情や耳などの変化を以前よりも気にするようになりました。

それだけでも収穫があったのかな。

 

世の中には馬の言葉を自在にあやつりとても素晴らしい関係性を築いている方たちがたくさんいます。

 

もちろんそうありたい、そうなりたい、と思っていますが、今は馬語を無理やり使ってみることはせず、心から話しかけるようにしています。

そして、ウマコたちとの関係はこれからもゆっくりゆっくり時間をかけて信頼関係を築けていければいいなと思っているんです。

 

 

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運動が苦手な馬もいる

 

 

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ようやく秋らしくなり、乗馬日和が続いています。

ウマコたちも暑さから解放されて、元気に走り回っています。

ただ一頭をのぞいで。

 

 

軽快に野原を駆ける馬、競馬で勇猛な姿で疾走する馬、仲間とじゃれ合いながら走り回る馬……。

馬は走るのが好き、というのはもしかしたら人間の勝手な思い込みかもしれません。

そもそも草食動物なので「走る=危険なとき」なのでは。

ただ、数日雨が続いたときや大雪が降り牧場にも雪が積もったときなど、我が家のウマコたちにとってもテンションの上がる瞬間があるようで、そんなときは嬉々とした様子で走り出し、ときには後ろ足を蹴り上げておならをしながら追いかけっこをしたり、牧場中を大運動会することもあります。

ビバとシルにいたっては、スライディングストップを織り交ぜながら大爆走。

つられたビッグも二頭の後ろからかけっこをし、器用に短い後ろ足を蹴り上げるなど、馬体の大きさにかかわらず、馬の走る姿はみなかっこいいなあとよく思ったものです。

 

ところが我が家へハクがやってきてからは少々見方が変わりました。

 

ハクちゃんは超がつくほど平和主義。

シルやビバ、ビッグがかけっこを始めても、逃げ惑い、走るのも遅いため自分よりも小さなシルにあっという間に追いつかれて蹴り上げられる。

走り方もズベズベとした歩様で、速歩を後ろから見ると側対歩のせいかいわゆる「ぶりっ子走り」にしか見えません。

ときどき対抗して後ろ足を蹴り上げるのですが、自分の頭部よりも高く足を蹴り上げるビバとシルと違い、地面からわずかに足が上がるだけ。

ハクちゃんは平和主義なだけではなく、どうやら運動が苦手な馬だったようです。

 

5歳で我が家へ来たのですが、当初よりよくつまづいていました。

もしかしたら足が悪いのかと調べましたがそうでもなく。

ただただ、きちんと足を上げて歩いていないのでちょっとした凹凸にもつまづいたようです。

ほかにも足は真っ直ぐ顔は左向きというおかしなクセがあるため、ハクちゃんを乗りこなすにはテクニックが必要で、素直で敏感に反応するビバと比べると実は上級者向きのウマコなのです。

 

そんな運動が苦手なハクちゃんなので、シルの調馬索運動が始まると、次は自分の番ではないかとドキドキするようで、スタコラと木陰に隠れてジッと様子を伺っています。

ただ、自分の体の大きさを把握していないため、隠れていると思っているのは本人(馬)だけなのでした。

 

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まったく隠れていない………

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小さな馬だからつい甘やかしてしまうのです

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我が家のシルは馬とは思えないほど人にベタベタとくっついてきます。

放牧中でもなんとなくそばにいたり、馬小屋にいるときにこちらが入ると、体の一部をわたしにペタリとひっつけてくるのです。

顔を寄せれば舐めてくる。どちらかというと大きなワンちゃんといるような気になるときがたびたびあります。

 

なので、馬はどちらかというと適度な距離感を保つほうがストレスがかからないと言われてますが、シルにはまったく当てはまらないのです。

 

さて、シルのこれらのスキンシップの大半は甘えている、のだと思います。

ハクのそばに繋いでいるときも、ハクに寄り添っているので「人(馬)恋しい」タイプなのかなと思うのです。

それ以外には、ときどき顔をこすりつけてくるときがあります。

こんなときは「かいて」という要求のしるし。

耳の裏や耳の穴(大好き)、たてがみ、鬣甲(きこう)をガシガシワシワシとかいてやると非常に喜ぶのです。

そしてシルからもお返しと言わんばかりに唇でのグルーミングが施されようとしますが、そこは阻止。

馬同士では気持ちがよくても人間にとっては馬のグルーミングは少々痛みを伴うため、やんわりとお断りし、シルの要求にのみ答えるのです。

 

ただ、この要求がエスカレートすると、おしりをかけと言われます。

気分的にその要求にすんなりと答えると「下僕感」満載になる気がするので分からないふりをすると、おしりをこちらに押し付けてスリスリとすりつけてくるではないですか。

 

これにはさすがにハッキリと拒絶をするのですが、最終的にはシルの気持ちのいい顔が見たいがあまりにかいてしまうアホな飼い主です。

 

でもこれは、あくまでもシルが小さな馬だからです。

大きな馬がこのような要求を人間にしょっちゅうするようになれば、いずれケガする可能性もあるし、関係のバランスが崩れてしまいかねます。

でもシルは小さいので、ついつい甘やかしてしまうのです。

 

ダメだとわかっていても、気が強く喧嘩っ早く愛想のなかったシルが、お客さんに可愛がられる女の子に育ってくれたので、彼女にとってはこれはこれでよしとしよう、と自分都合に納得しています。

 

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ハクちゃんのキメ顔

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「キビキビ」とか「シャキシャキ」とか「グングン」とか、勢いを感じる言葉が一切似合わない我が家のハクちゃん。

そんなハクちゃんですが、ときどき首をシャンともたげ、キリリとした表情でこちらをジット見つめてくるときがあります。

あまりにも凝視してくるので、「どうした?」と声をかけるとおもむろに腰を下げ、用を足し始めるのです。

そう。ハクちゃんが凛々しくなる瞬間。それはおしっこをするとき。

 

ただ、キリリとしてからおしっこが出始めるまでがまぁ長い。

なのでしばらくの間、凛々しいお顔を眺めていることができるのですが、ときどきお客さんの顔をジッと見つめながら気張ることもあり、そんなときは微妙な空気が流れています。

 

※いつも読んでいただきありがとうございます! ブログの投稿時間を夜に変えてみようと思います。週2ペースは保ちますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします!

 

 

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馬も睡魔に襲われる

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「馬はどうやって寝るの?」

とよく聞かれますが、すでに寝てますよ、というくらいフロンティアのウマコたちはよく寝ます。

睡魔に襲わてから眠りにつくまでを観察してみると結構おもしろく、

 

目が半目になる

 ↓

頭が垂れる

 ↓

目が閉じる

 ↓

口が半開きになる

 

これがエスカレートすると

 

倒れる

 ↓

四肢を投げ出して寝転がる

 ↓

いびきをかく

 ↓

前掻きをする(夢を見ている)

 

と変化していくのです。

 

さて、我が家のビバは何度も紹介するように、非常にスキンシップが苦手です。

シルなんかは自ら「なでろ〜かけ〜」と体を寄せてきますが、ビバはベタベタされるのをイヤがります。

なので、ビバをなでくりまわすチャンスは寝ているとき。

ふだんはドキドキしながらなでるのですが、睡魔に襲われているときはなで放題。

あくまでもソフトタッチですが、睡魔には勝てないようでまるで別人(馬)のようにおとなしくなでられています。

 

横になったときは大チャンス。

隣で添い寝しても鼻の穴にニンジンを入れても起きないので、まずはヨシヨシしてから、彼が起き上がるまでずっと寝顔を見続けています。

 

やんちゃなビバはもちろん可愛いのですが、睡魔に襲われているときのギャップに萌えまくっている毎日です。

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白馬あるあるでしょうか

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よく馬は、馬種によって性格を分けられますが、性格なんて千差万別。

同じ日本人でもいろんな性格がいるように、馬も「道産子だからおとなしい」「サラブレッドだから気性が荒い」なんていっしょくたにすることはできません。

 

ただ、育つ環境が似がちなので、やはり種類によって共通する気質はあるようには思いますが、「ポニー=気が強い」から敬遠する、というのはやっぱり違うのでしょう。

たとえ気が強いポニーであっても、育つ過程で人間とどのように関わり関係性を築くか、他の馬や動物とどのように接するかなどでいくらでも性格は変わるようにも思います。

 

さて、我が家のビバは、人間に例えると「繊細で潔癖症」。

少々扱いにくいと思われがちですが、彼の性格を理解してみると、なにを重んじていてなにがイヤでなにが好きなのかが自ずとわかってきます。

まず、ビバにとってルーティーンはものすごく大切です。

毎日のお手入れから始まり、ご飯のタイミング、あげる順番など、決められた通りやってやればなにも問題なくスムーズにことは進みます。

ただし、これらが少しでも狂うと、途端にチャカチャカし始めるのです。

たとえば、足裏を掃除して水洗いしその後外に出て草を食べる、というのが毎朝のルーティーンですが、水洗いをして放置したまま別の作業を始めると前掻きやら前後運動やらヘッドバンキングやら大騒ぎ。

このように少々めんどうなことが多いのですが、感心するのはボロとおしっこ事情です。

 

馬の中にも、トイレの場所を決めているコとそうでないコの二通りいます。

比較的シルはトイレの場所を決めていて、厩舎でも牧場の馬小屋でも自分が寝る場所とトイレの場所をきっちりとわけています。

さらに上をいくのがビバ。

彼は牧場の中でもトイレの場所を決めています。

おかげで曳き馬中でも、そのポイントで立ち止まればボロ、ここならおしっこ、とこちらもわかるので、「えっ動かない!どうして!」なんてこともないのです。

 

朝も厩舎へ行くと、ボロは後方にかためられており、掃除も楽ちん。

 

かたやハクちゃんですが、彼はビバとは正反対。

ところかまわずボロもすればおしっこもする。

そして容赦なく踏む、寝る、ゴロンゴロンする……。

毎朝ハクの汚れ具合をドキドキしながらチェックしています。

 

寝藁をたくさん敷いてやればいいのですが、おがくずなどの寝藁を夜な夜な食べてしまうため、疝痛予防に我が家は分厚いゴムマットを敷いた上に薄くおがくずを敷いています。

なので、余計にハクちゃんみたいなタイプは汚れがついてしまうのですね。

寝藁をたっぷりと敷き詰めたいけどできない、複雑な事情に頭を悩ましています。

 

そんなこんなでハクちゃんのお手入れに苦戦をしているのですが、周囲の白馬と暮らしている人に聞くと、これって白馬あるあるなのかもしれません。

彼らは自分の体が白いことをわかってなく、こちらがどんな思いで白さを取り戻そうと洗っているかも理解していないのです。

さらにハクは佐目毛といって、肌がピンクで色素の薄い種類なので汚れも目立ちやすい。

そのため、日によってはフロンティアには白馬は不在になるのでした。

 

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馬はいつもあなたの行動が気になって仕方がない

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今までイビキかいて寝ていたのに、気づいたらランランと目を輝かせて隣にいた。

ワンちゃんと暮らしたことのある人なら誰もが経験するこの現象は、馬もまた同じ。

 

ボーッとしていても下唇ダルダルにして寝ていても、地面にドカンと腰を下ろしてくつろいでいても、常に耳はアンテナを張りまくり。

 

ちょっとでもこちらが動いたり物音を立てようものなら、これまでの経験から脳内に蓄積されたデータをフル回転させて、その中でもっとも起こりうる最高にハッピーなことを想像して、ワクワクした表情で大注目してきます。

 

とくにわたしはウマコたちにとっては「ごはんをくれる人」。

ポッケにはつねにニンジンを忍ばせ、手にはカサカサという音のする袋を持ち中から甘いものを取り出す魔法の手を持つ生き物。

ときには両手いっぱいにつる草を抱えて牧場の奥からやってくる。

それが彼らから見た「わたし」という生き物なため、私の一挙一動がとにかく気になるのです。

 

そしてすべてポジティブに捉えているので、

わたしの行動=自分たちにとってハッピーなこと

と脳内で変換されるため、的が外れたときのガッカリ具合はハンパない。

 

鳴き損、ヘッドバンギングし損、前掻きし損、それでも諦めきれず、キラキラとした目で見つめてくるので、本当になんにもないときはこちらが申し訳ない気持ちになってしまうのです。

 

ひと月続いたスイカ、トウモロコシ祭りが終わった今、ウマコたちの視線からいかに逃れるかが、目下頭を悩ませるところなのでした。

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